研究助成事業東日本大震災への取り組み 
提言(2011年9月2日)

団地再生ノウハウの住宅復興への適用

澤田 誠二

明治大学 理工学部 建築学科 構法計画研究室
教授 澤田 誠二
[助成採択年度] 2006年度
[助成種類] 研究助成
一般社団法人・団地再生支援協会ホームページ
http://www.danchisaisei.org

[1942年] 長野市生まれ/東京大学工学部建築学科卒業/同大学院修了(建築生産論)
[1966年] 大高正人建築設計事務所、日本設計事務所
[1969年] Benisch&Partner, ミュンヘン五輪施設のデザインー オープンビルディング研究に着手
[1982年] 清水建設エンジニアリグ本部、技術本部、都市交通システムの開発
[2000年] 滋賀県立大学環境科学部教授 環境問題と社会システムの研究
[現在] 明治大学理工学部教授、団地再生産業協議会副会長

我々の採択研究は「団地再生プロジェクトとアーバンティッシュの継承」を扱ったもので、老朽化した住宅団地の再生(再開発)の際に、周辺の街並み(アーバンティッシュ)との調和を図るにはどのようにすべきか?どうすれば可能なのか?というテーマだった。

その後我々の研究領域は、マンション再生のための建築技術の開発と整備、高齢居住者対応の施設とサービスシステム、新エネルギーとそのマネージメントシステムなど、次第に拡大し、それに伴って、団地再生プロジェクトを検討する自治会や管理組合などからの相談も増えて来た。こうした状況を踏まえて2009年には我々の団地再生研究組織を法人化し、現在では、団地再生プロジェクトの実務展開の取組みを始めている。

我々の設定する団地再生プロジェクトの目標は"コミュニティの再生"、"住環境の再生"、"ハウジング経営の再生"の3つを統合的に実現することである。建築再生・都市再生のハード・ソフト技術を適切に集約し、その"まち"に特有な社会システムと統合することである。その社会システムは、従来の"公・私"で構成するものでなく"公・共・私"型となり、再編成することでサステナブルな"まち"に転換することができる。

我々は"インフィル(住宅・住戸)"、"サポート(住棟・共用施設)"、"アーバンティッシュ(街並み)"という3つの住環境レベル毎の"利害関係者"間の合意形成が、この団地再生の基本であり重要な計画ツールと考えている。本来オープンビルディングでは、インフィル、サポート、アーバンティッシュごとに"物理的寿命"が異なるとし、システムとして多様な"社会的寿命"に適応させるべきとしている。すなわち長寿命のサポートに寿命の短いインフィルを組合わせる"フレキシブル"な住環境づくりが可能だ。我々のすでに体系化した"団地再生のノウハウ"を、多様な被災状況に適用し、ハウジング復興での、中期・長期的な"エフォート対効果"を考えたプロジェクトマネージメントが可能である。

参考資料:
一般社団法人・団地再生支援協会ホームページ http://www.danchisaisei.org

付加情報:
澤田誠二(代表)
明治大学教授、団地再生支援協会・副会長 bxk01676@nifty.com
建築学会・オープンビルディング小委員会、CIB W104 メンバー

大坪明
庫川女子大学教授、団地再生支援協会・理事
都市住宅学会

済藤哲仁
現代計画研究所・取締役、芝浦工業大学非常勤講師
団地再生支援協会・理事、NPO団地再生研究会・副理事長