公益財団法人 大林財団

助成事業実施報告書

※研究者名、所属組織は申請当時の名称となります。

研究成果一覧

防災・減災活動拠点としての災害遺構の活用方策に関する研究

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市計画  都市景観  
[ 研究者名 ] 石原 凌河
[ 研究概要 ] 本研究では、国内外の災害遺構を事例に、災害遺構の保存と解体を巡るコンフリクトが生じる理由と、災害遺構を防災意識の啓発や実践的な防災行動に結びつけるために必要な要因について明らかにすることを目的とした。この目的を達成するために、①国内外の災害遺構の事例を所収したデータベースの構築と、災害遺構が置かれる現況や保存と解体を巡るコンフリクトが生じる要因の俯瞰的な把握、②2004年中越地震・1991年雲仙普賢岳噴火災害の遺構の事例を基に、災害遺構の維持管理を巡る諸課題の把握、③1925年北但馬地震における遺構の活用事例を基に、都市空間の記憶装置としての災害遺構を保存する意義の考察、の3つの内容に取り組んだ。

モバイルセンサーを用いた気候環境と人体生理反応のポータブル型環境モニタリング

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市計画  都市景観  
[ 研究者名 ] 一ノ瀬 俊明
[ 研究概要 ] 2016年夏季晴天日に山手線内および隅田川までを包括する矩形エリアにおいて、ヘリコプターによる地表面温度広域遠隔計測(解像度5m前後)が行われたのに同期し、東京大学周辺の固定点および都心を東西方向に横断する4つのルートでの地上移動観測を行った。赤外線の水蒸気吸収の影響により、上空観測の補正を行う必要から、地理情報システムを活用して複数のデータ抽出手法を試みた結果、ほぼ全域で一律+9℃での補正が有効であると確認された。各ルートの担当スタッフが携帯型の各種センサーにより取得したデータからは、地表面温度や周辺環境と、人体生理反応との具体的関係が描き出されつつあるものの、センサーの挙動安定性に関しては、体表面接着の不安定性(汗による剥離)など多数の問題が指摘され、現在同時進行で観測手法の改良に取り組んでいる。このほか通信費用や、携帯端末でのデータ受信の不安定性も指摘されている。

ドイツにおける文化創造的都市づくりと都市変容

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市政策  都市経済  
[ 研究者名 ] 池田 真利子
[ 研究概要 ] 本研究は,2000年代以降特に欧州諸都市において主要な都市政策概念となってきた創造都市に関して,特にドイツの創造都市に関する政策策定経緯や背景を注視しつつ,どのような都市政策のもとに,いかなる創造都市が目指されているのか,同時期にドイツ経済において重要性を増してきた文化創造経済のその背景的特徴,および都市州別(ハンブルク州・ブレーメン州・ベルリン州)の政策の具体性はいかなるものなのかを,両者の関係性を概観しつつ複合的に検討することにある.

社会基盤施設計画から捉える近代地方都市成立のメカニズムの解明

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市建築史  都市と文化  
[ 研究者名 ] 出村 嘉史
[ 研究概要 ] 本研究は、地方都市の形成要因の一端を明らかにすることを目的とする。特に都市における経営上の意志が強く現れる社会基盤施設整備計画に着目する。これまでに比較的理解されている大都市に対して、地方において形成された都市は、単に都市計画制度による事業で説明できるものではなく、独自のプロセス、構造を持つものと考える。その中で、本研究では、近代に改めて都市としての発展過程を経て成立した愛知県一宮市に焦点を絞り、発展の軸となったと考えられる鉄道敷設と実際の都市開発の間に読み取ることができる都市経営の意図を把握し、流通の場の形成が都市運営の目的となる時に、都市が拡大する、というモデルが想定できることを示した。

津波被災地における災害危険区域指定に関する研究

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市計画  都市景観  
[ 研究者名 ] 荒木 裕子
[ 研究概要 ] 本研究では東日本大震災後の災害危険区域指定のGISデータベース構築を行い、データベースを活用した自治体間の比較検討を行った。仙台湾沿岸の亘理町、新地町では人口集積地が災害危険区域の指定から外れているのに対し、山元町では浸水地に対する災害危険区域の指定率が高く、従来の人口集積地も災害危険区域に指定されていた。同じく人口集積地が浸水した東松島市はこの地域に対し災害危険区域の指定はおこなわれていなかった。また災害危険区域指定を行っていない多賀城市、松島町の人口集積が高い地域や観光資源がある地域では、土地利用規制ではなく、多重防御や避難行動の支援による安全確保の方法をとっていることを示した。

東南アジア新興国を対象とした都市ヒートアイランド緩和ガイドラインの作成-主要3都市におけるマスタープラン実施後の都市ヒートアイランド予測-

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市環境工学  
[ 研究者名 ] 久保田 徹
[ 研究概要 ] 本研究では,ベトナムのハノイとマレーシアのジョホールバルを対象として,都市気候の現状と将来予測を行い,さらに両都市の結果を比較することで,東南アジアの成長都市に広く適用可能な暑熱化対策ガイドラインを検討した。両都市に共通して,マスタープラン実施後にあっても夏季日中ピーク時の気温には大きな変化はなかったが,都市の拡大に伴って高温域が拡がった。また,夜間は最大で2~3℃の気温上昇が見られた。地球温暖化による影響は都市化による影響よりも大きく,例えばハノイの場合,夏季ピーク時の気温上昇は既成市街地で2030年までに約2℃と予想されたが,そのうちの1.4℃(70%)は地球温暖化による影響であり,都市化による影響は0.6℃(30%)との結果を得た。地球温暖化対策について言えば,東南アジア新興国では緩和策よりも適応策の方が重要と考えられる。こうした2℃に及ぶ気温上昇が住宅内の熱的快適性に及ぼす影響は大きく,今後は,特に夜間の冷房使用を抑えることが重要といえる。本研究では,部分冷房による適応策を主に提案した。一方で,都市ヒートアイランド緩和策としては,特に夜間の気温上昇を抑えることが必要と考えられる。ここでは,人工排熱削減の重要性を強調した。一方,日中の最高気温の低減には緑化手法が効果的であるが,ハノイを例に,大規模緑地を集中的に配置するのではなく,中規模の緑地を分散配置する方法を提案した。

東日本大震災被災地におけるインタラクティブミュージックシステムを活用した音風景創出による復興まちづくりの探求

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市計画  都市景観  
[ 研究者名 ] 森田 哲夫
[ 研究概要 ] 本研究者らは、駅や商店街、公共施設などの公共空間に設置し、音風景(soundscape)を演出するインタラクティブミュージックシステムを開発してきた。本研究では、東日本大震災被災地である仙台市の復興公営住宅において社会実験を実施し、実用システムへの改修を行うとともに、生活質・音風景、ストレス評価に関する検討を行った。
その結果、実用システムのための対象空間の演出方針、音風景プロジェクト、空間の設え等に関する知見を得ることができた。生活質・音風景評価に関しては、生活満足度と復興実感度の因子を抽出し、両者を統合する共分散構造分析を構築することができた。また、本システムによる参加者の行動変化、ストレス軽減効果を検証することができた。

スマートデバイスとオープンソースGISを用いた被災情報共有システムの研究

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市計画  都市景観  
[ 研究者名 ] 窪田 諭
[ 研究概要 ] 本研究では、豪雨による災害を対象に、平常時および災害時に円滑に被災情報を収集し、共有することを目的として、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスとGISを用いて被災情報を共有するための情報システムの設計、開発および実験を行った。本研究は、平常時の防災業務から災害時の応急対応、復旧活動を円滑に支援できる情報システムを実装する点に意義がある。

ヨーン・ウッツォンとアルネ・ヤコブセンの建築思想と空間構成からみた建築史における位置付けに関する研究

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市建築史  都市と文化  
[ 研究者名 ] 脇坂 圭一
[ 研究概要 ] 持続可能な社会を目指すにあたりタイムレスなデザインとも評されるデンマークの建築には模範となるべき手がかりがあると思われる。本研究では、デンマークを代表する2人の建築家アルネ・ヤコブセンとヨーン・ウッツォンを対象として、デンマーク国内の近代建築史および国際的近代建築史における両者の評価について把握しつつ、言説から求めた建築思想との関係について空間構成も参照しながら明らかにすることを目的とする。結論としては、デンマーク近代建築史ではヤコブセンの方がウッツォンより記述が多いが、国際近代建築史ではウッツォンに関する記述が圧倒的に多く、発行が後年になるほどヤコブセンが取り上げられない傾向がわかった。両者の言説資料から、中項目としてはヤコブセンが「技術」「機能」「エステティック」「空間構成・表現」「感覚」を重視するのに対して、ウッツォンは「空間構成」「感覚」「建築観」「部位」を重視することを確認した。

古民家再利用を促進する地域イノベーションのメカニズムの解明

[ 実施年度 ] 2015年度(平成27年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市政策  都市経済  
[ 研究者名 ] 松下 元則
[ 研究概要 ] 古民家等の旧市街地の町並みを構成する建物の利用に関する認識の変化に注目して、函館西部地区バル街を含む一連の地域イノベーションに関する個別事例研究を行った。一連の地域イノベーションの全容をできる限り正確に理解するために、地域イノベーションによって解決された問題が発生した時点にまで遡り、多様な行為主体の関わり合いをできる限り視野に収めて分析を行った。本研究の主な成果は、次の2点である。第一に、1975年から2015年までの函館西部地区のマクロ環境の変化を跡付けて、旧市街地である函館西部地区の町並みを構成する建物の利用に関する認識が変化する過程を析出した。第二に、旧市街地の町並みを構成する建物の利用に関するリフレーミングは、2段階の状況の変換によって生じたことを析出した。

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