公益財団法人 大林財団

助成事業実施報告書

※研究者名、所属組織は申請当時の名称となります。

研究成果一覧

2種規格外フライアッシュを活用した住宅基礎構造の開発

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 建築技術  
[ 研究者名 ] 石山 智
[ 研究概要 ] 本研究では、JISにおける2種規格外フライアッシュをコンクリート系材料として有効に活用することを目的とし、住宅基礎用の埋設型枠材料として利用するための検討を行った。埋設型枠の製造方法として押出成形法を用い、成形性に及ぼす影響を検討すると共に、強度性能および塩化物浸透性状について実験的に評価を行った。

2012年の白川水害による熊本市陣内地区の河川改修に伴う住居移転と防災意識の変化

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市計画  都市景観  
[ 研究者名 ] 山本 晴彦
[ 研究概要 ] 2012年7月12日、熊本県阿蘇地方を中心に未明から6時間降水量が459.5mmと284年に1度の稀な豪雨を観測した。本豪雨は一級河川の白川を流れ下り、下流で屈曲している陣内4丁目で大規模な洪水を引き起こした。本地域は従来から畑や樹林地で、空中写真から戦前や昭和28年水害の後も洪水の痕跡が確認できる。1970年代の高度経済成長期から宅地開発(琵琶苑、リバーサイドニュータウン)が進み、1980年代には開発が完了している。2012年の水害後の河川改修事業により立ち退きを行った世帯と残留した世帯を対象にアンケート調査を2017年に実施した。その結果、移転した世帯は移転交渉に満足している反面、残留した世帯は今も水害に対する不安を抱えていることが明らかになった。

熊本地震における避難状況に関する研究 -益城町広安西小学校を事例として-

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市計画  都市景観  
[ 研究者名 ] 久冨 敏明
[ 研究概要 ] 2016年に発災した熊本地震における益城町立広安西小学校の避難所としての施設利用状況と通学路の被災状況の調査を行った。広安西小学校校長をはじめPTAと地域の方々に対するヒアリング調査を実施し、記録及び分析をまとめた。セミオープンスクールとして校舎を設計したことにより、避難生活場所への転用に加えて、多様なボランティア活動を受け入れることが出来ていた。また、通学路の被災状況を教職員とPTAが発災直後から調査し情報共有したことにより、的確な通学路の見守りが実施された。そこでは、小学校を中心とした地域全体が子どもを大切に育てることを共有の基盤として、多世代に及ぶ多様な被災者に対する共助の場を実現したことが明らかになった。

膜分離活性汚泥法のファウリング原因微生物の動態調査

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市環境工学  
[ 研究者名 ] 惣田 訓
[ 研究概要 ] 膜分離活性汚泥法(MBR: membrane bioreactor)は、省スペース性に優れ、活性汚泥の沈降性によらず常に清澄な処理水を得ることができる。しかし、膜閉塞(ファウリング)を抑制するために大量曝気が必要であり、定期的に膜を薬液洗浄する必要もある。ファウリング原因物質の一つは、微生物が分泌する細胞外高分子である。本研究では、S下水処理場におけるMBRにおいてファウリングの進行状況を調査し、その進行度の異なる時期に採取した活性汚泥及び膜付着物の微生物叢を解析することにより、ファウリングに関与する微生物群の特定を試みた。その結果、特に遷移期及びTMPジャンプ後の膜付着物は、活性汚泥とは顕著に異なる微生物叢を有するが明らかとなった。また、そのような膜付着物ではFirmicutesの優占が顕著であることから、進行状況によらず、Firmicutesがバイオファウリングに重要な役割を担っていることが示唆された。

東南アジア都市・アールデコレガシーのイマーシブドキュメンテーション ーインドネシア・バンドン・ブラガ通りにおける実験-

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市計画  都市景観  
[ 研究者名 ] 篠崎 道彦
[ 研究概要 ] インドネシア・バンドン・ブラガ通りを対象に,歴史資料・写真をもとに20世紀前半の沿道建築物の形態を推定,ヴァーチャルリアリティで再現する手法を開発した。さらに,過去と現在をつなぐインタフェースを実装することで,かつてジャワのパリと謳われた時代の景観を体験する環境を構築した。また,その過程で沿道建築物の形態・意匠,増改築等による具体的な景観構成要素の変化を把握した。アールデコ様式を含む当時の主要な景観構成要素が現在も多く残存しているが,建築物の改変,利用形態の細分化等による意匠的な分断が進行していることが明らかになった。

VRディバイスを用いた建築設計手法開発に関する研究

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 建築技術  
[ 研究者名 ] 水谷 晃啓
[ 研究概要 ] 建築設計の企画・提案手法としてHMD型VRディバイスを用いた空間情報伝達のためのツール(VR設計支援ツール)開発を行い、そのシステムを導入した際の効果や有効性の評価を行った。特に、材質や色の組み合わせといった仕上げや仕様を決定する際の合意形成手段として活用可能かという点に着目し、より満足度の高い企画・提案を行うための手法およびツールの開発を行った。
持ち運び可能なシステムの構築を行い、中小規模の設計事務所等個人ベースで導入可能なツールの開発と運用を提案している点、検討段階から使用可能な設計支援ツールとしてVR技術を導入している点に本研究の特色がある。

中国の都市化過程における社会・経済・環境の地域構造変化に関する研究 -地級市を単位とした地理情報システムによる分析-

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市環境工学  
[ 研究者名 ] 坪井 塑太郎
[ 研究概要 ] 既往研究では主として一級行政区を単位として議論されることの多かった中国の社会環境情勢に対し,本研究ではGIS/MANDARAに実装されているオブジェクト「集成」機能を用いて,二級行政区の地級市単位での地図データベースを構築し,さらにこれを経済区別に,水資源を事例として詳細な域内の可視化と分析を行った。本研究の結果,中国には水資源の顕著な南北格差がみられたが,2002年に着工した南水北調により北部地域への供水量の増加により,特に北京市において,生活用水量の改善が図られたことが明らかになった。今後は,社会科学における隣接研究分野との連携強化を図り,応用分析を蓄積していくことが課題である。

訪日外国人による自由旅行の回遊行動の分析

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市政策  都市経済  
[ 研究者名 ] 猪井 博登
[ 研究概要 ] 本研究では、増加の著しい自由旅行を行う訪日外国人の回遊行動の把握のため、GPSロガーを配布し、位置情報を記録、分析を行った。移動範囲は、かなり広く著名な観光地を結ぶ形で移動が行われている。しかも、その移動の多くが公共交通で行われている実態が分かった。また、宿泊地についても、ホテル・宿屋以外の宿泊が少なくないことが観測された。多くの移動データで、観光地の駅などに到着後、すぐに移動を開始しており、現地での案内、インターネットなどの事前情報の整備が進んでおり、それに支えられ、比較的スムーズな回遊がなされている実態が分かった。

ICカード利用履歴データを用いたバス専用レーン実施による定時性向上効果の分析

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市交通システム  エネルギー計画  
[ 研究者名 ] 嶋本 寛
[ 研究概要 ] 全国的にバスの利用者が減少しているが,その一因として旅行時間信頼性の悪化が挙げられる.宮崎市の中心部において,バスの定時性向上を目的に2016年2月からバス専用レーンが本格実施された.本研究では,交通系ICカード利用履歴データを用いてバス専用レーン規制の本格実施前後の旅行速度分布を面的に比較することにより,バス専用レーン規制の効果を検証した.検証にあたり,より多くのバス停間の旅行速度を算出するため,ICカードデータから利用したバス車両の推定手法も提案した.
分析の結果,バス専用レーン導入により一部のバス専用レーン区間の旅行時間信頼性が向上することが確認され,またバス専用レーンを含まない区間も含めたその他の区間においても,バス専用レーン実施により旅行時間信頼性は悪化しないことが確認された.

地震災害時における負傷者の受療行動パターンからみた医療/救護施設の適正配置に関する研究

[ 実施年度 ] 2016年度(平成28年度)
[ 研究種別 ] 研究助成
[ 研究分野 ] 都市政策  都市経済  
[ 研究者名 ] 山下 哲郎
[ 研究概要 ] 自治体が公開する災害拠点病院等の指定病院(災害病院と称する)データと大震災時の被害想定調査データを用いて、災害病院に来院する重傷者数を推計した。被害想定の市区町村別重傷者データをGISの250mメッシュに配分した重傷者メッシュを作成し、全メッシュから全災害病院への道路距離を計算して、最短距離の病院ごとに重傷者メッシュを集計している(災害時診療圏と称する)。東京都を対象とした推計では、大病院が集中する都心部で災害時診療圏が小さい一方、病院密度が低い城東・城南エリアでは災害時診療圏が大きく、数百人の重傷者が来院する災害病院が発生しており、更なる医療救護体制の検討と整備が求められる。なお、この方法は重傷者を公開している県であれば適用が可能である。

ページの先頭へ