顕彰事業 大林賞第12回大林賞受賞者
(2022年)

オードリー・タン氏ソーシャル・イノベーション担当デジタル大臣(台湾)

オードリー・タン氏

オードリー・タン氏は、コンピューター言語である Perl と Haskell を再活性化させ、同時にダン・ブルックリン氏と共同でオンライン・スプレッド・シートである EtherCalc を構築したことで知られている。

公共部門に於いては、台湾の国家発展委員会のオープンデータ委員会委員及び国民基本教育(小学校から高等学校まで)のカリキュラム委員会の委員を務め、台湾の歴史上初の試みであるネット規則制定プロジェクトを主導している。

民間部門に於いては、アップル社でコンピューター言語について、オックスフォード大学出版局とは集合辞書編集について、ソーシャルアルテクスト社とは社会的相互デザインについて、コンサルタントとして仕事をしていた。

社会的部門では、“fork the government.”(政府の再構築)を合言葉に、市民社会実現の為の創造的ツールに焦点を当てた活気あるコミュニティである g0v(ガバメント・ゼロ)に積極的に貢献している。

授賞理由

オードリー・タン氏は、台湾が新型コロナ禍で深刻なマスク不足に見舞われる中、政府が国民に供給するマスクの最新の在庫情報をグーグルマップ上に示し、限られたマスクの適切な供給を可能にしたアプリ「マスクマップ」の開発を主導する等、デジタル担当大臣として、デジタル化やIT政策などに貢献されました。
「マスクマップ」は都市空間に情報空間を重ね合わせることによって、必要物資の供給力向上、感染症対策等に新たな地平を開きました。
ITによって市民行動などを極度に管理するのではなく、匿名性を確保しつつ、都市における危機管理を進める上で新たな可能性を示された氏の功績は、本財団設立の趣旨にかない大林賞の授賞に値するものと考えます。

イベント

例年、受賞者をお招きして授賞式・受賞記念講演&シンポジウムを実施しておりましたが、今回は新型コロナウィルス感染状況を考慮して実施することができませんでした。
オードリー・タン氏より「Global Classroom」と題したレクチャー(動画)をいただきましたので、これらのイベントに代えて配信することとしました。