制作助成事業 2021年度 採択者

2021年度 採択者

exonemo(エキソニモ)

Photo:Niko

exonemo(エキソニモ)

怒りと笑いとテキストエディタを駆使し、さまざまなメディアにハッキングの感覚で挑むアートユニット。千房けん輔と⾚岩やえにより、1996年よりインターネット上で活動開始。2000年より活動をインスタレーション、ライヴ・パフォーマンス、イヴェント・プロデュース、コミュニティ・オーガナイズなどへと拡張し、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り⼝と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手がける。2006年《The Road Movie》がアルス・エレクトロニカ ネット・ヴィジョン部⾨でゴールデン・ニカ賞を受賞。2012年よりIDPWを組織し「インターネットヤミ市」などを⼿がける。2015年よりニューヨークに拠点を移す。

委員長コメント

2020年は芸術の歴史において、どのような転換点になるのでしょうか。最初の緊急事態宣言が出されて以降、社会生活における「必要なもの」と「不要なもの」が区別されていくなかで、芸術支援のあり方も問われています。様々な文化事業が延期や中止を余儀なくされましたが、2020年3月のWHOによる「パンデミック宣言」直前に第2回助成対象者のシアスター・ゲイツのレクチャーパフォーマンスが無事行われ、そのあと迅速に第3回助成対象者の選考の会議が重ねられました。「必要」「不要」のどちらかに性急に区別されるのではなく、生きるうえで⼤切なものとして芸術の役割を再確認するためにも、この助成活動を持続させることができたのは本当によかったと考えています。
今回の選考には当然ながら昨今の経済、性差、人種の不平等をめぐる議論が大きく反映され、この助成活動が向かうべき⽅向性をあらためて話し合う機会になりました。その結果、インターネット黎明期から男女二人のユニットで先鋭的な活動をおこなってきたexonemo(エキソニモ)を選出しました。コロナ禍で私たちの生活がデジタル技術に依存する割合は高まりましたが、例えばインターネットによって産業分野の新しい可能性を探索するだけでなく、物質的な技術と人間の欲望が相互に及ぼす影響など、デジタル技術の内外を⾏き来する批評的な視点を⼆⼈が表現してきたことは、これからますます重要な視座になるとして高く評価されました。2015年以降ニューヨークに移り住み、そうした諸問題についてさらに考察を深める機会を得たexonemoは、これからの都市における芸術の役割を提示するうえでも相応しいアーティストであると考えました。
選考においてはアジアや他の地域のアーティストの候補も検討しましたが、海外との往来がどうなるか不透明であり、助成対象者が調査や制作の過程を関係者や⼀般に広く共有する機会をなるべく確保するためにも、今回は⽇本国籍を持つアーティストを選出することにしました。

東京藝術大学大学院 教授
住友 文彦

イベント

東京same galleryにて、大林財団、same gallery、エキソニモ共催による「A DECADE TO DOWNLOAD - The Internet Yami-Ichi 2012-2021」の出版記念パーティと展示を開催。
*エキソニモは新型コロナウィルスによる渡航規制により帰国できず、ニューヨークとビデオチャットでつなぎ、遠隔で参加。

「A DECADE TO DOWNLOAD - The Internet Yami-Ichi 2012-2021」の出版記念パーティ

記録冊子配布のご案内

記録冊子が完成いたしました。記録冊子の郵送(無料)をご希望される方は、下記のとおりお申し込みください。

  • タイトル
    第3回都市のヴィジョン「Infected Cities」
    第3回都市のヴィジョン「Infected Cities」
  • 配布数
    300部(応募者多数の場合は抽選となります。抽選の結果は発送を以って通知に代えさせて頂きます。)
  • 判型
    B5判
  • 頁数
    225頁
  • 料金
    無料(お一人1冊まで、国内のみの発送となります。)
  • 発送時期
    2023年4月下旬頃 発送予定
  • 申込受付終了
    2023年3月31日(金)
  • 申込方法
    受付は終了しました
  • 詳細お問い合わせ
    公益財団法人大林財団
    〒104-0045
    東京都中央区築地1-12-22 コンワビル13階
    TEL:03-3546-7581 FAX:03-3546-7582